性交同意年齢(刑法)に関する意見

性交同意年齢(刑法)に関する意見
 
(発言、処罰・懲戒について)
●民主主義国家においては、
1 現に違法
2 明らかに倫理道徳に反する
ものを除き、発言を規制されたり、発言によって処罰され又は懲戒を受けるべきではない。
また、これらの行為が将来する結果に類する結果を招来する行為を強制するべきでもない。
 
●当然、誰か(特定の人間)の快・不快又は政治的選好のみによって、発言を規制されたり、発言によって処罰され又は懲戒を受けるべきではない。
また、これらの行為が将来する結果に類する結果を招来する行為を強制するべきでもない。
 
●単に不快で、又は政治的選好に適わない発言があったとして、それで他人の人格等を決めつけることは慎むべき。
 
 
固定観念等)
●単に成年男性が未成年女性を搾取するというのみの固定観念、偏見、快、不快又は感情論のみを根拠として、物事を進めるのは、厳に慎むべきである。それは凡そ議論のための態度とは思えない。
 
●年長者の男性が必ず搾取する側に立つという見方が適切であるかは疑問がある。固定観念、偏見に基づく年齢差別、性別差別に当たる可能性がある。
 
●恋愛や婚姻自体、そもそも互いの思い込みから発生する場合がある(むしろ、互いを深く理解しあって、付き合うというのは稀ではないか?)
 
 
(性交同意年齢)
●性交同意年齢:性行為を行うかどうか判断できるとみなされる年齢の下限。刑法177条に規定しており、この年齡以下に対する性交は同意の有無によらず、強制性交等として罰される。
 
●性交同意年齢を引き上げることには、現時点では反対(賛成するに足る理由がない)。なぜなら、子供の利益を擁護する観点からは、現行法体系(法律と各種条例)で間に合っており、わざわざ引き上げるべき合理的、倫理的理由が見いだせないから。
 
●つまるところ、賛成者は、現行法体系ではカバー(・フォロー)しきれない場合と引き上げによって確保される子供の利益や社会一般(国民一般)の利益を、合理的、倫理的理由を示して説明する必要がある。
また、既存の刑事法と整合的であることも求められるので、それについても説明する必要がある。
 
●もし引き上げるならば、例外を認めるべきではない。責任・能力・保護の観点から行うならば、未成年者同士が性交を行うことは当然に禁止されるべきだし、これのみを特例として認めるのは全く矛盾した態度である。つまり、いわゆる「ロミオとジュリエット」規定は置くべきではない。
 もっとも、合理的・倫理的理由が説明されるならば、この限りではないが、納得の行く理由が説明されることは多分無いだろう。
 
●性交同意年齢を具体的に何歳に設定するかは、科学的見解を踏まえた合理的・倫理的理由によってしなければならない。また、既存の各種権利が発生する年齢(例えば、刑事責任年齢、単独で契約行為ができる年齢(成年)、婚姻適齢(婚姻可能年齢))との兼ね合いも考えなければならない。
単に他国に追随するというのは、合理的ではない。
 但し、具体的な年齡規定を持つ国際約束を日本が受容している場合は、この限りではない(国際約束は誠実に遵守されなければならない)。
 
●結局は快、不快の問題に帰着するような気もするが、刑事法はそれのみで決めるものであってはならない。
快・不快のみで、誰かを罰するというのは、前近代の考え方であり、現代にあってはとられるべき考え方ではない。
 
●法学者の意見はこの際傾聴するべきだが、特定の党派や政治的選好に偏してはならない。
 
●国会の出した結論に従わない又は尊重しないということではない。
 
 
パターナリズム
パターナリズム
 1:強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること。
 2:親が子を保護するように、国家が保護的視点から個人の領域に介入すること。
 
●引き上げ又は厳罰化それ自体はパターナリズムである。子供の権利を、保護の名目で制限するものであるからだ。
 ただし、合目的的・合理的な理由があるなら、パターナリズムを否定するものではない。
 政策や法令は、合目的的・合理的理由に基づいて、実現可能性・結果をもたらす蓋然性や正義・倫理道徳を踏まえて、正義や利益を比較衡量して決定(制定)されるべきと思うからだ
 
 
性教育、避妊・中絶方法)
性教育は、いずれの場合でも、適切に必要な情報が子供に提供されなければならない。子供を無知のままにしておくということは、大人のとるべき態度とは思えない。
 
●避妊や中絶の方法は、胎児たる子供の権利の保護を考慮しつつ、適切な手段が提供されなければならない。
 
●教育や避妊等方法からのアクセスを遠ざけることが、性交の件数を減らすことに繋がるとは思えない。
 それは単に「臭いものに蓋」をするだけである。