権利(基本的人権)と義務、及び権利の制約に対する理解

 

※以下は、ググった結果と素人理解によるもの。5chとTwitterを見た際、「権利は義務の対価として与えられるもの」「権利には義務が伴う」という意見があり、権利と義務に対する理解を整理するために作成。

 

 


権利(基本的人権)と義務、及び権利の制約に対する理解(メモ)


・古代において、ギリシアのポリス(都市国家)等では、参政権を持つ市民の義務として、兵役等があった。

 

・また、近代日本(大日本帝国憲法)にあっては、法律の範囲内で、各種の人権が保障されていた。

 

現代日本においては、憲法日本国憲法)に掲げる基本的人権は、憲法や法律で定められる義務との交換条件として国民に与えられるものではない。
基本的人権を分類すると、精神的自由権経済的自由権/自由を分類すると、積極的自由、消極的自由、等の分類があるが、話が長くなるので省略。


現代日本においては、憲法に掲げる基本的人権は、公共の福祉によって制約することができる。
公共の福祉については、憲法の明文では、具体的な定義がされておらず、曖昧なものであるが、法学者の通説は、一元的内在制約説を取る。判例は、一定していない。権利の種類や法令の目的に応じて、内在制約を取ることもあれば、外在制約を取ることもある。


一元的内在制約とは、
つまり、人権に内在する要因による制約(内在制約又は内在的制約。つまり、誰かの基本的人権の尊重・保護)のみが、他者の基本的人権を制約できるとするもの。

外在制約(外在的制約)とは、人権の保護以外の要因、例えば、国民一般の利益や公序良俗(≒国民社会で現に通用する倫理道徳)によって、他者の基本的人権を制約できるとするもの。


・更に、具体的な制約の理論(違憲審査基準)としては、上の制約に加えて、比較衡量論、二重の基準論があるが、話が長くなるので省略。


・具体的な制約の条件として、比例原則やLRA基準があるが、話が長くなるので省略。


・ただし、公共の福祉については、自由権規約人権委員会による以下のような批判(懸念表明)及び是正勧告がある。
  「公共の福祉」の概念は、曖昧で、制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容するかもしれない(懸念。第4回~第6回定期報告に対する最終見解)
  「『公共の福祉』の概念を定義し、かつ『公共の福祉』を理由に、規約で保障された権利に課される『あらゆる制約が、規約で許容される制約を超えられない』と明記する立法措置をとるべきである」(是正勧告。第5回定期報告に対する最終見解)
  「規約第18条及び第19条の各第3項に規定された厳格な要件を満たさない限り、思想、良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する、権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを促す」(是正勧告。第6回定期報告に対する最終見解)


・法令による義務は、多岐に亘るため、省略するが、
憲法の義務は、いわゆる「三大義務」として、自らが保護する子弟に法律で定める義務教育を受けさせる義務、納税の義務、勤労の義務がある。
とはいえ、憲法上の義務の履行と引き換えに基本的人権が付与・保障等されるわけではなく、また、単に憲法に違反しただけでは何か罰されるというわけでなく、
(そもそも憲法が個人に対して直接適用できるかどうかも、学説は分かれている。)
具体的な義務・罰則は、法律で定められている。
(例えば、憲法と学校教育法を参照。)
そして、これらの義務違反によって、何か基本的人権が停止・剥奪されるというわけではない。

 

※参考
※以下、URL及び記事タイトル、及び※をつけてコメントした箇所以外は、引用。
(法令)
日本国憲法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
学校教育法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000026
大日本帝国憲法
https://www.digital.archives.go.jp/gallery/0000000001
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B8%9D%E5%9C%8B%E6%86%B2%E6%B3%95


(制約原理・理論→公共の福祉、違憲審査基準)
公共の福祉(Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E3%81%AE%E7%A6%8F%E7%A5%89
違憲審査基準(Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%95%E6%86%B2%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E5%9F%BA%E6%BA%96
※LRA基準についても説明。
比例原則(Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E4%BE%8B%E5%8E%9F%E5%89%87


(ミルの危害原理)
危害原理・危害原則
https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/121018harm_Priciple.html

" That principle is, that the sole end for which mankind are warranted, individually or collectively in interfering with the liberty of action of any of their number, is self-protection. That the only purpose for which power can be rightfully exercised over any member of a civilized community, against his will, is to prevent harm to others." (J.S. Mill, On Liberty, 1860)

「その原理とは、人類が、個人的にまたは集団的に、 だれかの行動の自由に正当に干渉しうる唯一の目的は、自己防衛だということである。
すなわち、文明社会 の成員に対し、彼の意志に反して、正当に権力を行使しうる唯一の目的は、他者にたいする危害の防止である」早坂忠訳(ミル 1967: 224)。
※J・S・ミル『自由論』


(一元的内在制約)
「公共の福祉(特に、表現の自由や学問の自由との調整)」に関する基礎的資料
平成 16 年 4 月 1 日
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi.htm
日本国憲法の下において人権の制約原理として是認されるのは、それに対抗する他の人権のみであり、
この人権相互間に生じる矛盾・衝突の調整を図るための実質的公平の原理が公共の福祉に他ならない。

基本的人権と公共の福祉に関する基礎的資料 ―国家・共同体・家族・個人の関係の再構築の視点から―
平成 15 年 6 月 5 日
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11343088
①公共の福祉とは 人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理である。
②この意味での 公共の福祉は、憲法規定にかかわらずすべての人権に論理必然的に内在している 。
③この原理は、 自由権を各人に公平に保障するための制約を根拠づける場合には、必要最小限度の規制のみを認め(自由国家的公共の福祉)、社会権を実質的に保障するために自由権
の規制を根拠づける場合には、必要な限度の規制を認めるもの(社会国家的公共の福祉) としてはたらく。


自由権規約人権委員会の意見)
国際人権規約(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/index.html#section3

 

(私人間効力)
私人間効力(Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%8A%B9%E5%8A%9B


以上